フローFLOW (流れ)に乗るために。

フローFLOW (流れ)に乗るために。

アヴィ・ベラハ             陶芸家    English

日本に在住して35年、武術における「気」の概念、加えて健康と幸福のための気の重要性は聞き慣れたものであった。

しかしそれは概念として知っていたものであって、如何に気を実践するかは何十年も武術(主に弓道、合気道と内家拳が少し)と瞑想の訓練をしていながら現実に体得する事は無かったのである。

この状態は先崎高弘先生が彼の揺禅気功と太極拳の教室に私を誘って下さるまで続いた。

私はもう若くないため、私が武術に求めるのは力ではなく心の平静である。そしてこの教室が私に与えてくれたのは静寂なる力なのだ。

緩やかな揺禅気功と太極拳を練習しながら、時には微動だにせず時にはゆっくりと動き、私の体はすぐにリラックスし重心がしっかりと安定した。驚いた事に私の体は私が作ろうとはしていなかった力のフィールドの中心にいたのである。

この力のフィールドは私がリラックスし、肩を落としてその姿勢を保つのに集中していたときに作り出された。

私の呼吸、体の動き、気が体の中を通り抜ける感覚、そして静寂!(梅田の喧噪はなぜか消え去っていた)が全て混ざり合い、言葉では表せない一体感が生まれた。

先崎先生は生徒達の練習を、優しく姿勢を正したり、時には理論的な話をする事で導いて下さる。生徒に無理をさせず、個人のペースを重視し、一人一人に型と動きの意味を自分で発見させるのである。

数週間の練習の後、何年も続いていた私の膝の痛みは改善し、体をコントロールする能力も向上した。体は軽く感じ、如何に体が空間の中に存在するかという微妙な感覚がつかめてきたように思える。

Yozen 揺禅気功は太極拳の土台となる。(思えば気功と太極拳を分けて考えるのは不自然な事なのかもしれない。)

気功と太極拳の訓練を通じて先崎先生は、複雑な動きを正確に覚える事が如何に大切かという事を、生徒一人一人を根気よく教えて下さる。個々の動きの武術的な意味を生徒にきちんと理解させ、後の相手を交えた練習に反映させるのである。

Yozen 気功と太極拳は音楽に似ているように思える。音楽は音が止まっても頭の中で続くものであり、太極拳と気功の動きは体が動いてなくても内在しているのだ。

この印象は先崎 先生のもと、数ヶ月月間練習を行なった後に生まれた。

この先、先生のもとで訓練を続ける事でどのような喜ばしい経験を積む事が出来るかとても楽しみである。

フローFLOW (流れ)に乗るために。

コメントは受け付けていません。